所得税非課税となる食事券サービスの透明性ガイドライン
一般社団法人食事補助推進協会
2026年8月14日
食事券は、従業員の福利厚生の向上にあり、報酬と異なり、個人の業績に対する対価ではなく、全従業員に対する平等な給付であることから、社員食堂と機能的に同等の役割を果たすものである。
これは金銭による食事補助とは異なり、従業員の通常の勤務日における昼食等に対する補助を目的とするものでなくてはならない。
用語の定義
会員企業本協会に加盟する企業のうち、所得税基本通達36-38の2の取扱いを活用した電子食事券サービスを提供する企業食事券サービス導入企業上記会員企業が提供するサービスを活用し、所得税基本通達36-38の2に基づく食事補助を従業員(以下、「利用者」という)に対して提供する企業飲食品提供事業者会員企業の食事券サービスによって決済が可能な事業者で、外食店や中食店のほか、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等小売店を含む。
本ガイドラインは、会員企業に対し、食事券サービス導入企業、食事券サービス導入企業の従業員(以下、「利用者」という)、飲食品提供事業者のいずれにおいても、①食事券サービスの不適切な利用を予防できる、②食事券サービス利用後に不適正な利用ではないことが確認できる仕組みの提供を促すものである。
1. 不適正利用防止対策の策定
会員企業は、本ガイドラインを参考に、自社の食事券サービスの適正利用に向けた「不適正利用防止対策」を策定し、それを踏まえた自社、食事券サービス導入企業、利用者、飲食品提供事業者等に対するソリューション開発・提供を行うこととする。
2. ソリューションの要件
ソリューションとしては、食事券サービス導入企業、利用者、飲食品提供事業者のいずれにおいても、
- 会員企業が提供するサービスを適切に利用することで不適正利用を予防できる
- 食事券サービス利用後に不適正利用ではないことが確認できる
ものとする。
なお、サービスの利用に係る記録を保存する場合、会員企業が自社のソリューションの機能を考慮して判断する。ただし、記録の提出・保管・閲覧においては、会員企業、食事券サービス導入企業、利用者、飲食品提供事業者のいずれにおいても、過度な負担(高額な費用の発生、管理業務の大幅な増加、長期にわたる物理空間及び情報空間の占有等)を相互に求めない。また、個人情報保護法に基づく適切な運用を図る。
3. 食事券サービス提供の要件
会員企業は、所得税基本通達36-38の2の取り扱いは、企業が従業員に支給する食事の課税関係を示したものであるから、利用者の勤務時間における昼食等への利用であるべきであり、下記のすべての要件を満たしたうえで、食事券サービスを提供しなければならない。
(ア)会員企業は、下記①〜③を理解した企業にのみ食事券サービスを提供すること。
- ① 源泉徴収義務者は、所得税基本通達36-38の2の取り扱いに該当しない支給については、従業員の個人所得税の徴収を行う義務があること
- ② 所轄税務署の税務調査が実施される場合には、会員企業は食事券サービス導入企業・税務当局に対し可能な範囲での情報提供等支援を行うが、食事券サービス導入企業が税務当局の指摘を免れることを約束するものではないこと
- ③ 少なくとも年1回、食事券を支給した従業員に対し、協会が提供する教育コンテンツまたはそれと同等の教育を提供し、全従業員の修了を確認すること
(イ)会員企業が提供する食事券は、下記①〜③の事項を遵守する利用者のみが利用可能とすること。
- ① アルコール類・たばこを含む、飲食料品以外の利用禁止
- ② 食事券の他人への譲渡禁止
- ③ 勤務時間中及び昼休み等の休憩時間以外の時間で摂ることを目的とした飲食品への利用禁止
(ウ)会員企業は、提供する食事券が、下記①〜②のいずれかの条件を満たす飲食品提供事業場(外食店・中食店等(弁当・惣菜専門店、デリバリー店を含む))でのみ利用可能とすること。
- ① 飲食料品のみを提供する飲食品提供事業場(外食店・中食店等)
- ② ①に加えて、飲食料品以外の販売を行ない得る飲食品提供事業場(コンビニ・スーパーマーケット等)のうち、会員企業から求めがあった場合に、購入品の食事券利用履歴(商品カテゴリー・購入日時・購入金額(必ずしも個人情報を含まない))を会員企業または食事券サービス導入企業に対し開示させられる体制を整備している事業者
(エ)会員企業が提供する電子食事券サービスは、下記の①〜④の制限を有するものであること。
- ① 食事券を用いた一日の食事代金の上限を設けることとし、一般的な昼食等としての相当額の範囲を逸脱しない限度額を設定すること
- ② 食事券の有効期限を設けることとし、最大「交付日から1年以内」とする
- ③ 食事券は、換金できないこととする
- ④ 実際に要した食事代金が、食事券の額面に満たない場合であっても、釣り銭を受け取れないものとする
4. コンビニ・スーパーマーケット等での利用可能サービスに関する追加要件
飲食品以外の提供を行い得る飲食品提供事業場(コンビニ・スーパーマーケット等)で利用可能なサービスを提供する会員企業は、「不適正利用防止対策」のソリューションとして、以下のいずれかと同等もしくはこれより優れた対策を取ることとする。
(ア)レシートを用いた適正利用管理
会員企業は、食事券サービス導入企業及び利用者に対し、飲食品提供事業者から受領したレシートを用いた適正利用管理のためのソリューション(例:レシート保管サーバーの提供、光学的文字認識技術・人工知能技術等を用いた適正利用診断ツール、等)を提供すること。
(イ)不適正品目の決済防止
会員企業は、決済時に飲食品提供事業者の商品コードと連携する等により、不適正品目の決済を中断させるシステムを整備すること。
(ウ)導入企業の社内監査体制の整備
会員企業は食事券サービス導入企業に対し、実効性のある社内監査を行う規程を整備させること。その際、必要であれば、会員企業は食事券サービス導入企業に対し、食事券サービス利用に係る社内規則のひな型を提供すること。
5. 情報共有の推奨
前項に掲げる「優れた対策」は、可能な限り会員間で共有し、業界の健全な発展に貢献することを推奨する。
補則:不適正利用の定義
「不適正利用」とは、所得税基本通達36-38の2の主旨から逸脱する利用である。代表例として、▽食事券サービス利用者本人以外の利用、▽アルコール購入を含む勤務時間中の食事以外の利用、▽アルコール類・たばこを含む飲食品以外への利用、▽社会通念上の勤務時間中の昼食代を超える額の利用。